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<p>2005/11/21, 日経産業新聞, ページ7<br /><strong>惜しみない人材教育――TCS、売上高の4%投資<br /><br />技術者レベル、平均点高く</strong><br />インドの南端。モルディブの対岸に位置する小都市トリバンドラムで、二〇〇六年二月の完成に向けて着々と工事が進んでいるビルがある。インドIT(情報技術)最大手のタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)が建設中の巨大研修センターだ。</p>
<p><strong>2000人宿泊可能</strong><br />新卒技術者や管理職向けの研修設備と大型ホテル並みの約二千人が宿泊できる寄宿舎を設ける。完成後はインド国内だけでなく、ハンガリー人やブラジル人など海外で採用した新卒技術者も同施設で研修を受ける。</p>
<p>TCSはすでにトリバンドラムに七百人が泊まり込みで研修できる施設を持っている。しかし、〇五年度には新卒社員を六千人採用。〇六年度は一万人に増やす予定で、とても収容しきれなくなった。</p>
<p>新卒技術者は国立のインド工科大学(IIT)やインド経営大学(IIM)など一流大学からさらに十倍にもなる選考を勝ち残って採用されている。それでも入
社後の甘えは許されない。研修中は毎日のように課題を与えられ、「成績が悪ければ研修中に解雇することもある」(ナラヤナン副社長)。新卒者だけでなく、
一般従業員にも年間二十日分の研修が義務づけられている。</p>
<p>ウィプロテクノロジーズはハイデラバードに三千二百人、本社のあるバンガロールに千六
百人が研修を受けられる設備を持つ。全従業員のうち一〇%程度が余剰になるようにしており、開発プロジェクトに参加しない人員は、研修施設で自分の技術力
向上に時間をあてることができる。</p>
<p><strong><span style="color: blue;">インフォシス</span></strong>テクノロジーズもバンガロールの南西に位置する都市マイソールに四千五百人を収容できる巨大な研修センターを持つ。<strong><span style="color: blue;">インフォシス</span></strong>の技術を学ぼうと中国の大学からも、百人ほどの学生が派遣され研修を受けているという。</p>
<p><strong>日本企業も学ぶ</strong><br /> 日本のIT企業のほとんどは売上高に占める教育投資の割合が一%に満たないが、TCSは売上高の約四%にもなる。工場がないITサービス産業では、人材そ
のものが設備であり、人材の教育に投資するのは当たり前という風潮だ。人材教育に惜しみなく投資するインド企業の研修を、日本のIT企業が取り入れようと
いう例も出てきた。</p>
<p>NECは〇四年から新卒採用した技術者のうちミドルウエア関連の四十人程度をチェンナイのSRMテクノロジーズに派遣し、一カ月半の研修をさせている。プログラム言語の「Java」に関する技術などの研修を受けたり、開発プロジェクトの進め方を学んだりする。</p>
<p>講義はすべて英語。英語が話せるのが当たり前のインドは、インターネット上にある英語の技術文書を読むなどして米国から先端技術を素早く採り入れる。そうしたインドの姿勢も学ばせようという狙いだ。</p>
<p>「日本語訳の技術書が出るまで待っていたのでは、世界に遅れてしまう」(研修を統括するNECの水島九十九ソフトウェア企画部シニアマネージャー)。東芝も三カ月間サイクルでプネに技術者を派遣し、研修を受けさせている。</p>
<p><strong>コストは1―2</strong><br />インド企業で働く日本人技術者に聞くと「上位のレベルは日本も同じくらいだが、全体の平均点ではインドが上。日本のように、個人の勝手な手法で開発を進め
ることもない」と話す。日本は技術的には決して遅れているわけではないというのが、インドで働く日本人技術者の共通意見だ。</p>
<p>しかし、開発者一人
当たりのコスト単価で比べれば、日本人技術者はインド人技術者の二倍以上。つまり、日本のIT技術者は二倍の生産性が保てなければ、インドとの競争に勝ち
残れない。徹底した人材育成に裏打ちされたインドIT産業の躍進は、日本のIT企業の研修制度のあり方なども問い直そうとしている。</p>
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